調査データで生活者のニーズを知ろう!
皆さんは新しい商品やサービスを作る時、何を基準にしていますか?「ひらめき」的な発想もステキですが、社会に価値のある商品やサービスを作るには、まず「生活者」を理解することも重要です。
現代はモノを作っても簡単には売れない時代です。そこには商品やサービスの選択肢が世の中に溢れ、多様な価値観が生まれていることも理由の一つ。PRにおいても「誰の何を解決するモノ(サービス)か?」をメディアをはじめとしたステークホルダーに伝えることが求められています。だからこそ、商品やサービスを作る時には、事前のリサーチが重要なのです。
今回はマーケティングリサーチにお勧めのサイトをご紹介したいと思います。
1. 『生活総研』とは
博報堂生活総合研究所(生活総研)は、人間の消費意識や消費行動について調査研究している民間のシンクタンク(研究機関)です。
国が行っている人口や各世帯の収入といった統計調査とは異なり、生活者の生活行動や感情、価値観といった切り口でデータを収集し、未来への兆しを知ることができる情報サイトになっています。
ちなみに、国が行っている主な国民調査には、総務省が5年に1度実施する「国勢調査」や、厚生労働省が実施している「国民生活基礎調査」などがあります。これらも各省庁のサイトにアクセスすると、データを無料で確認することができます。
【参考】
総務省「国勢調査」(https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka.html)
厚生労働省「国民生活基礎調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-21.html)
これらは大きな流れや国の状況を把握するのには良いのですが、個人事業主や小規模企業者がビジネスで役立てる情報としてはビッグデータ過ぎて少々大味なのです。
そこで多くのマーケターに活用されているのが博報堂の「生活総研」。この情報サイトが秀逸なのは、母体が広告代理店の博報堂だけあって、マーケターなどの専門家だけでなく、広く様々な人たちも「読みもの」として面白いコンテンツになっている点です。
そして、国内で生活している人々の実態がよりリアルに可視化されているので、モノづくりをする人、商売をしている人たちが、その対象となる生活者をより想像しやすいように見せてくれているのが特徴です。
『生活総研』(https://seikatsusoken.jp/)
それでは次の項では生活総研サイト内のお勧めのコンテンツをピックアップしてご紹介していきます。
2. ユニークな切り口で生活者の動向を知る『生活定点』
生活総研が1992年から30年に渡って首都圏・阪神圏の20~69歳の男女を対象に定点調査してきた、約1400項目のデータが閲覧できます。
例えば、「家の中よりも、野外で遊ぶ方が好きだ」という設問の最新(2022年)の調査結果は全体で24.0%、初回(1992年)時からの調査で過去最低の数値となっていることが分かります。
https://seikatsusoken.jp/teiten/answer/543.html
回答結果は「性別」「年代別」「地域別」などの分類で違いを確認できるほか、関連する回答(例:「大好きで熱中していることや、はまっている物事がある」※過去最高値)についても確認できるため、結果の理由を推測しやすくなっています。
ユニークな点は、30年の推移が似ているグラフを掛け合わせて提示してくれている点。「家の中よりも、野外で遊ぶ方が好きだ」という調査結果の30年間の推移が似ているほかのカテゴリーの設問も紹介してくれており、そこから意外な相関関係が発見できるようになっています。
さらに、グラフの形から探すこともできるため、「直近では何がキテるのか」「ピークから減退期を描いているのはどんなジャンルか」も分かります。
この30年の対比が分かりやすく出ている若者のデータをマンガにした、
『データそのまま、マンガにしてみた。』
https://seikatsusoken.jp/datacomic/
も面白い試みです。
生活定点が始まった1992年と、最新の2022年の調査結果を元に、若者の行動意識や価値観などが描かれています。
(男女の出会いの場が1992年はスキー場で、2022年はオンラインゲーム!)
若者に向けた広告出稿を検討するなら、今はスキー場ではなくゲームアプリだな、という検討材料としても活用できるわけです。
『生活定点』(https://seikatsusoken.jp/teiten/)
3. 写真で知る!生活者のリアル『生活図鑑』
生活図鑑は「衣」「食」「住」「環境」「シェア」の各テーマに合わせて、調査対象の人たち自らが撮影した写真を収集して分析し、私たちに見せてくれています。
※「住」「環境」「シェア」は現在準備中
数値や言葉だけでは見えない生活者の実態が限りなくノンフィクションとして浮き彫りになっているので、商品開発や新サービスを企画するといった仕事においてとても有用なサイトになっています。
ここでは「どんな人の?」(性別、年齢、未婚/既婚、職業、居住エリア、世帯年収など)という切り口から対象を絞り込み、さらに「どんな写真?」(どこで食べたか、誰と食べたかなど)で撮影された写真を抽出できます。
また、フリーワード検索もあるので、特定のキーワード、例えば「狭山茶」などで検索して、狭山茶を飲んでいるシチュエーション(おやつタイムなのか、食事時なのか)や年齢、食への意識(簡便なティーバッグの利用が多い、日本茶は健康意識が高い人が多く飲んでいるなど)などを知ることができるようになっています。
※ちなみに、今回「狭山茶」では検索結果が0だったため、「茶」で検索してみると、「紅茶」や「お茶漬け」「茶色い料理」なども含まれていました。
こちらではデータ分析のエキスパートである各研究員が写真データから得た「気づき」を、分かりやすくまとめてくれているレポートもあるので、写真を見ただけでは「ふ〜ん。。」となってしまう方でも、是非ご一読いただければ、何か今のお仕事に役に立つかもしれませんよ。
4. 100年先までわかっちゃう?!『未来年表』
未来年表は公表されている未来の情報を、西暦別、分野別に整理した将来予測のデータベースです。ここで将来の予測、「○○年に、○○になる」という情報をキャッチして、皆さんの事業計画を策定する際に役立てることができます。
分野は「医療」「宇宙」「カレンダー」「環境」「技術」経済」「交通」「資源」「社会」「情報」「人口」「通信」というカテゴリーで未来の情報を調べることが可能です。
ちなみに予測されている未来は現時点で2150年(!)。2150年を覗いてみると、なんと「富士山が、このころ大噴火する(3500年間の平均噴出率を適用した場合)」とあります。
未来年表では各情報を「予測」「推計」「計画」「政策目標」「決定」 と類型していて、各情報の出典やいつ時点の発表かが付記されているので、ご自身で情報の確度を確認して活用しましょう。
活用方法の一例として、例えば「お茶農家」さんの場合、この未来年表の「フリーワード検索」で「茶」を検索してみます(こちらでも「狭山茶」では結果が出ませんでした)。
すると、今から40年後、「気候変動で雨量が変化しているインドのアッサム州で、このころ紅茶(アッサムティー)が収穫できなくなる(対策しない場合の50年後)」という結果が出てきました。
そこから逆算して、今から「和紅茶」の生産量を強化していくという選択肢も検討できるわけです(あくまでも可能性の話ではありますが)。
また、この年表では、自分の未来年表が作れるというユニークな使い方ができます。現在のご自身の年齢を入力すると、将来起こるかもしれない未来を自分の年齢に合わせて知ることができるので、「年齢に応じた対策や心構え」ができるでしょう。(ちなみに私が100歳を迎える頃には、日本でソメイヨシノが開花しなくなると予測されており、地球温暖化に対する今からできる取り組みをもっと強化しなければ…と思った次第です)
5. まだまだある!生活総研のデータライブラリー
このほかにも、2040年には何が「ふつう」になっているか、約1万人のデータから願望度と実現度でマッピングした『2040年のふつうマップ』や、「今後10年以内に世の中から消えてなくなりそうだと思う時間」についてのレポートなど、様々な角度からすくい取った生活者のデータを見ることができます。
「全データ無料・登録不要で、生活者データ知り放題。」
すごいキャッチコピーですよね。
確かに、税金で調査収集しているわけでもないのに、調査データが全て無料で、無料サービスにありがちな「あなたの情報を登録してね」もないのに閲覧し放題という太っ腹な情報サイトなのです。
是非、皆さんも情報の渦に飛び込んでみてください!
『2040年のふつうマップ』(https://seikatsusoken.jp/miraihaku2022/visualizer/)
『生活者が思う、今後10年以内になくなる時間』(https://seikatsusoken.jp/miraihaku2020/research2/)
※本情報は2024年8月時点の情報です。ご利用にあたってはご自身の判断と責任においてご活用ください。
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